《欧亚美术》  犍陀罗艺术 

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COLUMN 6


ガンダーラ
秘話(5)

Dr. Eilenberg
 

 

このあとがまたすごい。聞いた話で正確かどうかわからないが。

「メトロに売った2億円(?)を自分の大学に寄付して、自分の名のついた数学の講座を開いた」という。メトロポリタン美術館にも自分の名を残し、大学に自分の名を冠した講座を残す。数学界での業績は言うに及ばず、すごい人である。

 話をもう少しつづけよう。その後数年経って、氏をよく知るアメリカ人の業者(誰も彼をめんどうみる人がいないので、自分が時々氏を訪ねているという)に氏の現況をたずねた。「入院していてとても悪い」という。病院名(Jewish Hospital)と住所を教えてもらって、にお見舞いの手紙を書いた。ちょうどその頃私がパキスタンに行ったとき、大きなレリーフを見せられた。そして説明されたのが、「このレリーフはDr.Eilembergが買って自分で持ち出そうとしてカブールで没収されたもの。それがまたマーケットにもどってきた」という。写真を撮っていたのでその写真を添えて氏にお見舞いの手紙を書いたが、はたして読んでくださっただろうか。

 その後また前述のアメリカ人の業者に会ったとき聞いた話。「植物人間」になったと。親族が一人もいないので生命維持のパイプを外す同意が得られない。そのままの状態が2年も続いているという。

 そしてこんな話も。「氏は医療保険が嫌いで(というより計算すると得にならないと)保険に入っていない。毎日400ドルかかる」と。「毎日400ドル?大変だ。どうするの?」「氏の預金をくいつぶし、…それがなくなれば政府がめんどうをみる」とのことだった。

 天涯孤独な人だったようである。こよなく古美術を愛して。

                                  (終わり)

 

 

 

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