《欧亚美术》  犍陀罗艺术 

Gandhara Antiques specialty shop
 

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COLUMN 41


ガンダーラの彩色について
 

 ガンダーラの彫刻が非常に彩色されていたであろうことは間違いないと思う。というのは、彩色の跡が少しではあるが残っていることがよくあるからだ。

 白、黒、赤()、たまに青(ラピス)ぐらいであろうか。金については別途述べるとして。

 

 ここに図1の朱のよく残ったレリーフがある。バジョール村の業者の家にあったものである。朱がよく残っている。右端の農夫のパンツ、鋤の取手、2頭の馬の全身、農作業を眺める太子の髪、御者チャンダカのパンツと日よけ。何かここに朱を塗る意味あいを読み取ることができるだろうか。その使い方が全くわからない。ただこれほど朱をはっきり残すのはめったにないので、ぜひ写真を出しておきたいと思ったわけである。塗ってあるところと、塗ってないところの区別もはっきりしている。
 

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 金箔を使うときに朱を塗ってその上に金箔を置く。これはたまに見かける。ではこの朱の上に金箔があったとすると……。それもわからない。太子が金でチャンダカと農夫のパンツが金ということもなかろう。従ってこれは金箔を置くための朱ではないだろう。謎である。

 ちなみにある人がガンダーラの朱を分析したそうである。ベンガラすなわち酸化鉄だそうである。ベンガラのかたまりを買ったことがある(平山コレクションに入っているはず)。ベンガラは自然に産出するから、それが使われたわけである。

 このベンガラが金箔を置く下地に使われている。接着力があるのかどうかわからないが、日本でも昔からそうだったそうである。ある人によると、下地に朱を置くと金箔の輝きがちがってくるという。さて果たしてどうなのだろうか。ただガンダーラで一つこんな例があった。図2である。金箔が残っていて下地に朱があるところとないところがある。その差によって金の色の違いを表現したのであろうか。となるとすごいことである。

 

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 今のように薄くする技術がなかった。こんなことあった。レリーフの砂があった。これを洗面器で洗ったことがある。洗面器の水を蒸発させた砂。その中で金箔の破片が光っていた。取ろうとするとその破片がピンピンとはねた。すなわち金箔の厚みが厚いのだ。今の金箔は薄く跳ねることはありません。そんな厚みのある金箔でも、下地に朱を置くと、金の輝きがちがってくるのだろうか。(つづく)

 


 

 

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