さまよえるゼウスの足(2)
　

その後いろいろあったが、少し割愛して話を進めよう。

　結局、友人の美術館で返還するまで預かってくれることになった。所有者と値段交渉して、買い取った。友人が引き取りに私のギャラリーにやって来て、アルミケースに入った足を持ち帰った。ちょうどその時ジャーナリストの別の友人とすれ違った。この記者も、このゼウスの足の置かれている状況を、私が時々説明しているのでよく知っていて、「いよいよですか」と、すぐ理解できたようであった。彼が同僚に連絡したらしく、次の日氏の友人の記者が私にインタビューに来た。

それがこの記事である。

朝日新聞夕刊2001年4月26日の一面に出た。
　

　この記事はよく書けていて正確に事実を伝えてくれている。
その後何回も雑誌、テレビ等で取り上げられたが、腹が立つほど不正確だった。
特にNHKの伝え方には腹にすえかねるものが何回かあった。


　その後、アフガニスタンに返還(私の手がけた他のものとともに)ということになるのだが、この件に関する私のコラムはここで小休止(数年間)することにする。