《欧亚美术》  犍陀罗艺术 

Gandhara Antiques specialty shop
 

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COLUMN 23


ゼウスの足
(2)
 


 ガンダーラ美術研究の日本の権威の一人の先生に、何かあれば連絡をとりコメントを頂戴している。いつもていねいなご返事をいただく。そのときも、先生に写真をお送りし、例のローマ風な大理石のオルティスの頭(当時学界でも注目され有名になっていた)の足だそうです、と手紙を添えた。

 数日後に先生からご返事を頂戴した。その主旨は「フランス隊がアフガニスタンのアイハヌムで発掘した有名なゼウスの足だと思う。」だった。そして、フランス学術隊のリポートのコピーが添えられてあった。図2(1)(2)がそれである。正にこれだ。割れのヒビも全く同じ、疑う余地なしである。となるとカブール博物館にあったもの(フランス学術隊が発掘したものの半分は仏に持ち帰りギメ美術館に、半分はカブール博に残した)が盗まれて、私のところまでやってきたのだ。その数年前にカブール博物館がタリバーンに襲われ、数々のものが盗まれて市場に出た。その中の一つだ。
 

 さてさて大変なことになった。大変なものが来たもんだ。売り買いできる品物ではない。かといって私のものではないので私の自由にはできない。少しの間預かっておく他ない。


ここでフランス学術隊が発掘したアイハヌム
(Ai Khanoum)について説明しよう。

 アレキサンダー大王が紀元前326年頃にペルシャを征服し、アフガニスタンの北部を通って、インドの国境に。そこから引き返してイランのペルセポリスで客死する。ただその足跡(遺跡)が見つかっていない。何とかアレキサンダーの足跡を見つけたい。それがフランス隊のミッションであった。探しても探しても何も見つからない。焦りに焦っていたとき、アフガニスタンの国王から隊に連絡があった。「何だかわからないものを見つけたから見に来い」と。国王が山奥に狩りに出かけたときに見つけたものだった。何んと大理石のギリシャ・コリント様式の柱頭だった。「これぞ正に探していたもの」。フランス隊は色めきたった。

「どこにあった?」

 
(つづく)

 

図2-1 図2-2
 
 

 

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