《欧亚美术》  犍陀罗艺术 

Gandhara Antiques specialty shop
 

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COLUMN 19


コレクター(2)
 


 東京の百貨店でガンダーラ展を開いたことがあった。カタログをお送りしたらすぐに氏の美術館から電話があり、展示品のメインになっている仏陀立像(写真2)を「取っておけ」とのことだった。

 初日においでいただいた。百貨店の人が私に耳打ちしてくれた。「うちの筆頭株主」とのこと。すぐに連絡がとび、社長、店長、部長が次々に「ご挨拶」に。その後お帰りになるまで、皆さん氏の後をぞろぞろと。異様な光景であった。

 そして別室に入り、お茶が出て、すんなり買って下さるかと思いきや、「高い、高い。まあ考えとくは。」

 

 室を出てエレベーターに。地下の食品売り場のうなぎ売り場に直行。皆さんもあいかわらずぞろぞろ後に、である。うなぎのカウンターで「ああ600円の売り切れか。そうか。あれは安くてうまいからな。」常連だそうな。「それじゃあしょうがねえや、700円の2枚。」日本有数の大富豪の言葉とは思えなかった。

 うなぎを酒の肴に毎晩日本酒をお飲みになるそうであった。「医者が酒をひかえろってやがんだ。酒飲めないなら死んだ方がいいや。」とも。酒はお好きだった。

 

 そして地上の裏出口で「お車」を待つ。車庫からあらわれた氏の車がすごい。中古車店で探そうと思ってもなかなか見つからないほどのオンボロ車である。5万〜10万で充分買えるような代物である。社員が後の戸を開け、お乗りいただいて、百貨店の社長以下整列して氏をお見送りした。

 

 これはうそでも何でもないですよ。ほんとのほんとの話。

 さてさて、その後、課長が氏の白金台のご自宅(渋沢栄一の旧宅、今の松岡美術館の地)にうかがって帰ってきて私に電話。「また値切られた。栗田さん、少し泣いて。」とのことで、一件落着となりました。写真2がそれですが、世界的名品です。 (つづく)

 


写真2 燃燈佛立像 h.132cm

松岡美術館蔵
 
 

 

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