『アステアスかその一派による

 ペストゥムの大きな赤像装飾蓋付きの壺』

 蓋の上には装飾模様が施され、半分は、エロスと若い女性が反対側に座っていて、エロスの後ろに白鳥がいます。もう半分には、半裸の女性が、若いサテュロスとあご髭のあるシーレーノスの間に座っています。


 取っ手には十字の唐草、取っ手と蓋の縁には波、持ち手と持ち手の間の側面には月桂樹が描かれています。取っ手の縁は壊れていて再び取り付けられていて、なくなった破片はほんのわずかで、そのほかの部分は損なわれていません。人物の描写が美しい見事な装飾性の高い壺です。


エロス(ギリシア神話の恋と性愛を司る神)
サテュロス(酒神Bacchusに伴う半人半獣の森の神で酒と女性が大好き)
シーレーノス(ギリシア神話の半人半山羊の水の精)

 


【paestanについて】

 Paestan vase paintingとは、紀元前360年頃にギリシアの植民者によって、イタリア南部カンパニア州パエストゥムに成立した壺の絵付けの様式です。大ギリシア(Grand Greece)の一部であった南イタリアでは、紀元前4世紀から3世紀にかけて陶器生産が発展し、地域別の様式が生まれ、現地から多く出土しています。

 ギリシアの壺の絵付けの中で最も重要な様式の一つである赤像(絵)式(red-figure vsse painting)は、それ以前に支配的だったで赤の背景に黒色の描写(黒像式)に対照的な黒の背景に赤色での描写を指します。

 アステアスAsteasは古代ギリシアの花瓶画家で、碑文から名前が確認されている二人の画家のうちの一人です。紀元前350〜320年にパエストゥムで活動しました。

 このレカニスという蓋付壺は儀式用であることも多く、蓋の装飾に結婚にまつわるモチーフが描かれることもしばしばありました。